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扉を開けたら、見える景色が変わった。2人のクリエイターが作品に込めたもの
教会の扉を開けたことで出会った、さまざまな言葉や人。
そこから生まれた気づきを、写真やイラストに込めて届ける「その扉を、あけてみたら展」が、2026年10月3日(土)〜10月31日(土)まで、天運教会カフェで開催されています。

(「その扉を、あけてみたら」をテーマにした合作DM、本は聖書をイメージ)
展示を手がけたのは、写真と言葉を組み合わせて表現するしほやまさんと、デジタルイラストを制作するvenoさんです。
「教会は少し入りづらい」そんなイメージを持つ人にも、まずは気軽に足を踏み入れてほしい――。展示に込めた願いから、制作の裏側、2人の表現を大きく変えた出会いまで、トークショーで語られた言葉をもとに紹介します。
PROFILE
しほやま
筑波大学大学院で感性認知脳科学を専攻。現在は都内でWeb制作の仕事に携わる傍ら、写真やイラスト、絵本などの制作活動を行っています。今回の展示では、自身やモデルへのヒアリングをもとに物語を紡ぎ、写真と言葉を組み合わせた「写真絵本」を制作しています。

veno
武蔵野美術大学でインテリアデザインを専攻し、現在はWebデザインの仕事に携わっています。コロナ禍にデジタルイラストを学んだことをきっかけに本格的な制作を開始。現在は、聖書の御言葉から得た気づきやメッセージをイラストに込め、Instagramを中心に発信しています。

写真展を開催することになった経緯を教えてください
しほやま:
もともと私がvenoちゃんの絵を見ていて、「いつか一緒に何かをつくりたい」と思っていたんです。それで食事に誘ったときに、「あなたの絵が好きなんだよね」と伝えたことが、2人で取り組むきっかけになりました。
表現方法は、私は写真と言葉、venoちゃんはイラストと異なりますが、どちらも教会で聖書を学ぶ中で得た気づきを、それぞれの方法で届けてきました。そうした共通点もあり、「一緒に展示をやってみよう」と企画が始まりました。

そして、2人で考えたテーマが「扉」です。
今回の「扉」は、教会の扉を表しています。私たちは教会に通い、聖書を学ぶ中で、考え方や生き方、そして制作にも大きな影響を受けてきました。

一方で、日本では教会に馴染みがなく、入りづらいと感じる方もいると思います。私たち自身、その扉を開けたことで新しい考え方や出会いに触れることができました。
だからこそ、まだ教会を知らない方にも「まずは気軽に開けてみてほしい」。
そんな願いを込めて、「その扉を、あけてみたら」というタイトルにしました。
普段はそれぞれどのように作品をつくっていますか?
しほやま:
私は写真と言葉を組み合わせた「写真絵本」をつくっています。

最初に考えるのは写真ではなく、物語です。自分の経験をもとにすることもあれば、モデルとなる方を探して話を聞くこともあります。
その人がどんな経験をしてきたのかをヒアリングし、印象に残ったエピソードからストーリーを組み立てます。その後、撮影場所を探して写真を撮り、レタッチをして、物語に合うものを選びます。最後に文章と写真を組み合わせて、一つの写真絵本に仕上げています。
veno:
しほやまさんの作品は、問いかけるような言葉が多いところが素敵だと思っています。その言葉をきっかけに、自分自身についてもう一度考えられるんです。
私は御言葉を聞いたときに、「この言葉を絵にしたい」「もっと多くの人に知ってほしい」と感じたところから始まることが多いです。

そのときに考えるのが、「どう描けば、この言葉を受け取ってもらえるだろう」ということです。
まず紙にラフを描き、iPadで下書きをして、色のイメージを決めてから仕上げていきます。
伝えたいことがあっても、なかなか絵として浮かんでこないことも多く、その時間は苦しいです。でも、イメージが固まり、色を重ねていく時間はとてもワクワクします。
簡単にできたものは一つもありません。悩んだ時間があるからこそ、完成したときには達成感がありますし、自分が描いたものにも愛着を持てるのだと思います。
しほやま:
私はvenoちゃんの絵の、静かで余計なものがない雰囲気が好きです。「この絵の中に住めそう」と思うくらい(笑)
普段持ち歩いている「制作バッグ」の中身も教えてください。

しほやま:
写真を撮るためのSONYの一眼レフカメラと単焦点レンズ、予備のバッテリーを持ち歩いています。記録用に動画を撮影するOsmo Pocketを入れていることもあります。
あとはMacBookですね。撮影した写真を選んだり、レタッチしたりするために使っています。ソフトはAdobeのIllustratorやLightroomなどを使っています。

veno:
私は聖書と小さなノート、それから持ち歩きやすいサイズのiPadです。
ノートには、思いついたことや頭の中を整理するために、いろいろ書き留めています。後から自分で見ても「何を書いたんだろう?」と思うこともあります(笑)。
そこから考えをまとめて、実際に描くときはiPadを使っています。普段はInstagramに投稿するサイズで描くことが多いのですが、今回大きく印刷して展示したことで、「もっと細部まで描き込んだ方がいいな」と気づくこともありました。
これまでの人生で、制作に大きな影響を与えた出会いは?
しほやま:
私には、大きく影響を受けた先生が3人います。
中学時代の先生は自分のつくったものをよく褒めてくれました。その経験から、「自分がつくったもので、人を感動させられるかもしれない」と思い、ものづくりに興味を持つようになりました。ところが高校時代、何をつくっても指摘される経験が続きました。そこで挫折をして、一度はものづくりをやめてしまいました。

その後、教会で牧師先生に出会いました。
その方はとてもクリエイティブで「神様を喜ばせるため」にさまざまなものを制作していました。その姿を見て、「神様のためにつくることって楽しそうだな」と思ったんです。そこから、もう一度つくり始めることができました。
その出会いから、今も大切にしている考え方はありますか?
しほやま:
「角度」という考え方です。
最初は写真について、「撮るときには角度が大事だ」と教えてもらいました。人や物にも360度いろいろな角度があって、一番良い方向から見ることで、その人の個性や素敵な部分が見つかると教わりました。

人間関係でも誰かに対して「嫌だな」と感じることがあっても、もしかしたら自分が一つの方向からしか見ていないだけかもしれません。違う視点に立てば、良いところが見えてくることもあります。
自分自身についてもそうです。「自分は足りないところばかりだ」と思っていても、見方を変えれば「これもできる」「ここは自分の良さかもしれない」と気づけます。
その考え方は、私の写真にもつながっています。「御言葉を実践している瞬間は、その人のかっこいい角度なのではないか」と考えるようになり、今はそうした姿を写真に残しています。
venoさんにも、心に残っている言葉はありますか?
veno:
「すべての人に愛されることはできなくても、すべての人を愛することはできる」という言葉です。
もともと、誰に対しても平等に接したいという気持ちがありましたが「みんなを平等に愛するなんて、綺麗事なのではないか」と感じることもあって、そんな生き方はできないと思っていたんです。
しかし、この言葉を教えてくださった牧師先生が、実際にそのように生きている姿を見て「本当にこんなふうに生きることができるんだ」と希望を感じ、私もそういう生き方をしてみたいと思うようになりました。

高校時代の私は、ドクロなど暗いモチーフの絵を描いていました。当時は誰かに認めてもらっても、自分が描いたものを愛することができませんでしたが、考え方が変わるにつれて、描くものも変わっていきました。今では、自分が生み出したものを一つ一つ愛せるようになったと思います。
展示を訪れた方にどんな「扉」を開いてほしいですか?
しほやま:
「アイデアの扉」を開いてほしいです。
アイデアは、何もないところから突然生まれるというより、すでにあるもの同士を組み合わせて生まれることが多いと思っています。
だから、自分の中に何を入れるのかがとても大切です。
毎日同じ場所へ行って、同じものばかりを見ていると、考え方も少しずつ固まってしまいます。
今回、私たちの絵や写真を見て、「こんな表現があるんだ」「こんな考え方もあるんだ」と感じてもらえたら、それが新しい発想につながるかもしれません。
もちろん、絵を描いたり写真を撮ったりする必要はありません。
日々の生活の中で、「こんなふうに考えたら、いつもより楽しいかもしれない」と思えるだけでもいいんです。
この展示が、そんな新しい何かと出会うきっかけになったら嬉しいです。

教会の扉を開けたことから始まった、2人の新しい出会い。
人との出会いによってものの見方が広がり、その経験が写真やイラストとなって、今度は誰かに届けられています。
いつもとは少し違う角度から見てみること。
知らなかったものに触れてみること。
ほんの少し勇気を出して扉を開けてみた先には、これまで気づかなかった景色が広がっているのかもしれません。
少しでも興味を持った方は、ぜひ一度、教会の扉を開けてみてください。
そこには、自分なりの新しい発見が待っているかもしれません。
イベント情報
「その扉を、あけてみたら展」
開催期間:2026年10月3日(土)~10月31日(土)
開催時間:11:00~16:00
会場:天運教会カフェ(https://tenuncafe.com/)
入場料:無料
イラストや写真絵本の展示のほか、「あなたはどんな道を歩きたい?」をテーマにしたワークショップなどを通して、教会や聖書の世界に気軽に触れることができます。

文・写真:CGM広報編集部
※本記事の内容は取材日時点の情報に基づきます。最新の情報は公式サイト・特設サイトをご確認ください。